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所有→共有

某美術館に貸し出ししていた私物の作品が手元に戻ってきました。展示は大盛況だったようで、沢山の方がご覧になられたとのこと。身近にある作品が展示空間に佇むいつもと異なる様子に、我が子の成長を見るような少し誇らしい気持ちになりました。

 

『絶対』と断言できることが世の中にほとんどない中、今確実に言えるのは『人はいつか必ず死ぬ』ということ。この世に生まれてきたのは偶然か必然か?その辺りは神のみぞ知ることですが、早かれ遅かれ死は必ず皆平等に訪れます。その時には何も持っていけないんだなぁと思うといろんな執着心や欲望が馬鹿らしくもなるのですが、私はまだ無我の境地には辿り着けず、何かいいものないかなと探したり、買い物するのがやっぱり好きだしまだまだ楽しいのです。でも欲望のまま買い続けるのとは違う次の段階にいることはわかります。今回作品を貸し出すという、所有することから共有することへの経験から気付きがありました。

 


あぁそうだ、これからは次に託せるものを所有すればいいんだ。服だったら将来、ビンテージのお洋服やさんに並ぶもの。作品だったら美術館でみんなに観てもらえるのがいいけど、無名であってもなんかいいよね、と古い食器と一緒に並べてもらえるもの。いつの時代も探している人がいる美しい本。建築物に見える完璧なバランスの椅子。そんなものを見つけたいし所有したいしお店で提案したいな。そうなると、もの選びのハードルが必然的に上がることになりましたが、所有のその先が見えた気がして少し気持ちが明るくなりました。