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着るということ

昨年の今頃は、緊急事態宣言が出て日本中がどんよりとした空気に覆われていました…そして1年経った今、状況は変わらず、というか、正直もうどうしていいのか誰もわからないまま、進んでいくしかないのだな。と。

アパレル業界はコロナ禍前から決して良い状況ではなく、騙し騙しやってきたところへ、今回の出来事で身ぐるみ剥がれました、みたいな状態になって、世の人たちの服に対する姿勢もずいぶんと変わったのではないか、と思います。

とはいえ、私は今、服を扱う仕事をしていて、こんな状況になってもやっぱり服が好きなままだし、展示会へ行けばデザイナーの話を聞きながら真剣に服を選んでおります。魅力的な洋服(ここ、重要。ただ何でも売れればいい、とは思っていなくて、やはり魅力的なものでなければならない)を必要としている人のところへご縁を繋げることが私の仕事だと思っているので、私がそう思うものが世の中に存在する限り、細くてもいいから続けていきたいです。

先日、¥390に値下げされた桜色のパンツが結構な量、積まれて売られているのを目にしました。下手したら、LUCAで売られているパンツの値段を出せば100本買えてしまう、という事実に驚愕しつつ、これってどういうこと?おかしくない?と悶々とした気持ちを抱えたまま帰ってきました。自分の時給が¥1000として、そのパンツを材料から揃えて1時間で作れますか?と考えると、どう考えても無理なわけです。どこかで誰かが泣くことによって成り立っていて、それは結局自分の首を絞めている、ということに気付いている人が少ないことが悲しい。

ネガティブな話題になってしまいましたが、服が好き、という純粋な気持ちを忘れがちな方も多いと思うので、そんな今、おすすめする本が「着るということ」水野正夫著 です。ブレを正してくれる私にとっても大事な1冊です。機会ありましたらぜひ。